『悟るとはいつでも平気で生きる事』
建仁寺 『風神』by 「Y」
TVの影響もあるのだろう。
私が描いていた『霊能力者』のイメージは、
重厚で権威高く教祖の様な方を想像していた。
そして、その住まいも時代を感じさせるような、お屋敷を想像していた。
しかし、『霊能力者』の方が住んでいる住宅は、どこの地域にもあるような
一般的な戸建て住宅であった。
私はチャイムを押す前に、『霊能力者』が会いたがっていた
私の『守護霊』という存在について、きっと写真の誰かと見間違えたのだろうと思っていた。そんな特別な事はないだろうと。
会ってみて、「勘違いでした」と言われるのも、何だか気恥ずかしいなと思っていた。
私は、『守護霊』という存在に強い興味があった訳ではなかった。
切実に聞きたかった事は、『私の使命』についてだ。
今でこそ、『使命』という言葉に捉われる事はないが、当時は必死だった。
仕事で心身共に疲労して、このまま『生』を終えていく事が、
どうしても受け入れる事が出来なかった。
当時の私の心に在ったのは、
『この先10年の寿命でもいいので、使命に出会い、命を燃やし尽くしたい』
という身を焦がすような、強烈な欲求であった。
『使命に出会えるなら死ぬことも厭わない、だから俺の為すべき使命を教えてほしい』
それを聞く事が、今回会う事を決めた理由だった。
そんな思考を抱えながら、
私は玄関の間に立ち、緊張しながらチャイムを押した。
『はーい』と声が聞こえ玄関の扉を開けたのは、
自然体で優しい雰囲気を持った女性だった。
『え?この方が・・・』
私は、自分が思い描いていた『霊能力者』と随分ギャップを感じて、力が抜けた。
私は部屋に案内されて、座った。
自分の情報をほとんど与えない状況で、霊能者の情報を読みとる力は、どの程度整合性が合うのだろうかと考えていた。
私は待っている間、『霊能力』を持つという女性を観察した。
その方は自然体で、幸福な空気を発していた。
この方が嘘をついてまで、『目に見えない存在』を語ったりする必要性はないように感じた。
『見えない世界』を語る事で、人の気を引き、自分を特別な存在として位置づける必要性などない程、平穏で満ちたりた雰囲気だった。
むしろ、『目に言えない存在』を語る事で、平穏で幸福な生活を壊すリスクの方が高い。
私の直感は『この人は信頼できる』と判断していた。
彼女は、A4の用紙とボールペンを用意し、私の前に座った。
私はついに、『何か始まる』事を予感した。
彼女は、ボールペンを持ったまま、虚空を見つめ始めた。
目はここではない、どこか遠くを見ている様だった。
そして、何か聞きとれない言葉を喋っている様だった。
私には見えない何かを、見ている様だった。
気がつけば
先程までの、柔らかい表情と空気は一変し、
彼女ではない、何者かと対峙しているような錯覚に陥った。
彼女はボソボソと聞き取れな程の声を発し始めた。
すると、握っていたペンで、スルスルとA4の用紙に何かを書き始めた。
『悟るとは、いつでも死ねる事でなく、いつでも平気で生きる事』
その文字を見た時、私の心臓の音が大きくなった。
つづく
『あなたへ』
最近、昔読んだ本をもう一度手に取って読む機会が増えています。
『こんな事も書かれていたのか!!』と初めて読むみたいに新鮮に映ります。
それは、10年前の自分と今の自分は随分変わったからだと思います。
分かったつもりで読んでいた本も、全然本質に気づいてなかったり・・。
よくこんな本を興味持っていたな…と感心したり。
素晴らしい本は、自分が変わっていく度に、新しい発見がある。
『あなた』はそんな本に出会いましたか?
今日も良い日を!!
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