『あなたはよく生きた』~怒りの正体は悲しみ。
地元の海の祭りにて 『己を燃やし尽くす怒り』 byS
なっちゃんは私の事業所では、よく一人で過ごしていました。
孤立していた訳ではありません。
むしろ、周囲はなっちゃんと関わりを持ちたがっていました。
休憩時間になると、誰よりも早く集団の場から離れます。
他人と距離を取る事で、目に見えない圧迫感から一息ついていたのでしょう。
よく音楽を聴いて空を眺めていました。
何を想っていたの??
発達障害の障害特性の一つに感覚過敏という特徴があります。
感受性や感覚も鋭敏のため、私達が普段気にもならない様な「音」「声」「人との距離間」ですら、彼女には痛かったのかもしれません。
人によっては「雨」が体に触れる事でも「痛い」と表現される方もいる程です。
彼女はよく耳にイヤホンをつけて音楽を聞いていました。
音楽は、あらゆる痛みから解放される唯一の拠り所だったかもしれません。
事業所で働く訓練を頑張った分、家ではぐったりとされていたようです。
その様子は私達には決して見せなかった姿です。
ご家族はその様子をずっと見守っていました。
それは、どんなお気持ちだったでしょうか。
誰もがそうですが、人には2面性があります。
両極が、陰陽が、あります。それが自然です。
私も極端な人間なので、少し分かるような気がします。
私はなっちゃんが『よく生きた』と思います。
よく頑張ったね。お疲れ様。
疲れて当然さ。
自分で性格も、身体も、その機能も選べないもの。
その与えられた肉体と心で精一杯生きていくしかないもの。
その制限された、肉体と精神で生きた事もない奴が、
「死ぬのは悪い」なんて、よく言えるなって思うよ。
好きで死にたい奴がいる訳ねーだろ。
生きたいんだよ。幸せになりたいんだよ。
沢山、ちゃんと生きたいんだよ。
やりたい事は沢山あるんだ。
『あのお店で買い物したい』
そんな事すら遠い夢だ。
死にたくないけど、
死が優しく見えてしまう程、生きるのが苦しいんだよな。
生きる痛みを知らない奴は、『自死は悪い』なんていう。
俺はそいつに言ってやりたい。
本当にお前がその制限された器で生きるとき、
「死ぬのは悪い事」なんて言えるのかよ?
同じ痛みを抱えて、本当に生きる事が出来るのかい?
俺が見てやろうか??本当かどうか。
失礼しました。
見えない怒りが俺の中にずっとあります。
燃えるような、すべてを焼き尽くしたくなるような怒りがあります。
時々、その怒りに飲み込まれそうな時があります。
207年12月 禅の師匠「向令孝和尚」のもとで参禅をした日。
※参禅とは師匠と弟子が一対一で向き合い、与えられた公案(無門関など)について自分なりの表現を伝える場。師匠は、その表現を見定めて弟子の現在の境地や成長具合を確認する。
座禅を組みながら、自分の眠っていた怒りがフト目を覚ましました。
自分が静かに怒りの炎に焼かれていくのを感じながら、次第に呑み込まれていきました。
やがて私自身が怒りそのものになりました。
存在に対しての怒り
生きる事に対しての怒り
この不条理な世界に対しての怒り
燃える青い炎の様な怒りのまま、
参禅の際
師匠の「こっさん」と対峙しました。
全ての怒りをぶつける様に私は臆する事無く師匠を見つめました。
その時、師匠の眼差しが私をあまりに優しく見つめたので、
私を慈しむような眼差しで私を見つめたので、
私は虚をつかれ、静かに涙を流しました。
その後の座禅の時、怒りは悲しみに変化して、
誰にも気づかれないように、静かに涙を流しました。
よく頑張った、本当に。
きっと、人が何十年分の生きる感覚を凝縮して生きてきたのだと思います。
俺はあなたに負けぬように、今日も生きていきます。
いつも応援してくれてありがとう。
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