わたしからあなたへ

人生は不思議な事で満ちています。運命の出会いと別れを経て2017年11月20日に「ブログかけ!」というお言葉を頂きました。その不思議な物語の第一章を書き終えましたが、不思議な流れは更に力強さを増して、ようやくわたしは真を生きる事を決心しました。わたしもあなたも生きる事を味わい尽くし、善き旅路の果てで出逢いましょう。

「そいつ」がやってくる。

 『あなたへ』   

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 「清水寺 祥雲青龍」 by S

 

辺りはすでに、暗闇に包まれようとしていた。

 

もう間もなく外は、

 

漆黒の闇だ。

 

私は校舎内の下駄箱で、

 

息を潜めて一人佇んでいた。

 

聞こえる。

 

こちらに向かってくる音。

 

聞こえる。

 

ドチャッ、ドチャッ、ドチャッ。

 

飛び跳ねて、着地する音が。

 

ドチャッ、

 

ドチャッ、

 

ドチャッ。

 

「何か」が私に向かって来ている。

 

得体の知れない何か。

 

獣の様な人外の存在。

 

私の全身は硬く凍りつき、

 

その向って来るものは正体は、

 

魔物であろう事を察知した。

 

私は魔物に気づかれないように、

 

下駄箱の陰に隠れながら、

 

息を潜めた。

 

ドチャッ。

 

足は1本足。

 

その足の大きさは、

 

まるで動物の「象」程はある。

 

しかし、

 

人間の足の形をしている。

 

その1本足で、

 

跳躍しながら移動をしているのだ。

 

ドチャッ、

 

その重量故に、

 

着地した時、

 

周囲は揺れる。

 

上半身は成人男性が3人分の、

 

まるで鬼の様な体躯を持ち、

 

顔には、

 

大きな目が一つ。

 

目。

 

表情に感情の色はなく、

 

冷酷無比の獰猛さを感じた。

 

全長2メートル程。

 

一つ目一本足の鬼の様な存在。

 

「そいつ」は、

 

私が息を潜めて隠れている、

 

下駄箱の周辺を跳躍しながら周りはじめた。

 

 ドチャッ

 

 ドチャッ、

 

「そいつ」にとったら、

 

人間など餌に等しい。

 

私が「そいつ」に見つかった瞬間、

 

「そいつ」は感情の一つも揺らす事無く、

 

私を食べるのだろう。

 

私は全身に冷たい汗をかきながら、

 

恐怖に包まれていた。

 

獣の様な匂いを発したその魔物は、

 

なんの思考も感情も無い様に見えた。

 

私は隠れながら「そいつ」を観察した。

 

この校舎に人がいないのは、

 

夜だからじゃない。

 

人がいない理由は、

 

その化け物に食われたからだ。

 

餌を食べる様に、人を食べたのだろう。

 

なんの感情も揺らさないで。

 

私は「そいつ」を観察しいる内に、

 

私の感情に、

 

新しい感情が生まれるのに気付いた。

 

恐怖一色の感情から、

 

「怒り」の感情が生まれたのだ。

 

そいつの間抜けな顔を見ていたら、

 

無性に腹が立ってきた。

 

ただ、

 

たまたまの体躯を持って、

 

慈悲のない暴力。

 

「そいつ」にとったら暴力ですらないだろう。

 

そんなたまたまの存在(暴力の形)で

 

生まれたからと言って、

 

誰もがお前に恐怖すると思うなよ。

 

全ての人間がお前に屈するとは思うな。

 

人間をなめるな。

 

私は恐怖から一転、闘志が湧いた。

 

「そいつ」に何とか一矢報いたい。

 

しかし、武器もない。

 

挑んでも一瞬でも食われるだろう。

 

どうする?

 

「そいつ」が

 

俺を見つけるもの時間の問題だ。

 

しょうがない。

 

驚かせてやるだけだ。

 

驚かせてやる。

 

その間抜けな化け物を。

 

それが俺の最後の抵抗だ。

 

そいつが、

 

俺の前を通り過ぎる瞬間、

 

突然前に躍り出て、

 

「ワア!!」

 

と全身全霊の大声で叫んでやる。

 

やってやる。

 

 そして・・・。

 

奴が近づいてくる。

 

  ドチャッ

 

  ドチャッ

 

きた

 

くるぞ

 

 いくぞ、目の前だ。

 

いけっ!

 

 ドチャッ

 

私はそいつの前に飛び込み、

 

全身全霊で、

 

「わあー」

 

と叫んだ!!

 

「わあー」

 

 

「あ・・・」

 

目が覚めた。

 

え?

 

あれ?

 

夢か。

 

自分の叫び声で起きたのか・・・

 

家族

「うるさい・・・」

 

「すいません、化け物と闘ってて・・」

 

         おわり。

 

 

私達にとって、

 

素晴らしい一日になりますように(笑)

 

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