『生きていくの』
「あくまのかみさま」 by F
本当にその人生を選んできたの?
本当かい?
俺には信じる事が出来ない。
もし、そうであるなら、
俺にはさっぱり理解できないよ。
その短く悲しい人生を通して、
創りたい世界があったのかい?
どんなに高貴な魂だとしても、
そんな悲しい生を生きる事は、
もう終わりにしようね。
もう充分。
なあ、神さま。
一体どれほど、
小さな命を積みあげたら、
終わりは来るんだ?
もう、
天まで届いているだろうに。
そんな世界は終わればいいんだよ。
楽しい事はあったかな?
何がおいしかった?
好きな遊びは何だった?
どうか一つありますように。
あなたにとって、
世界はどんなに怖かったろう。
それを想うと胸が痛い。
どうか、
許してくれ。
俺が世界に復讐したところで、
悲しみが世界にまた一つ増えるだけ。
あなたが喜びはしないよなぁ。
世界中で、今。
歓喜の声があれば、
世界に絶望しながら、
小さな命が消えてるんだろう。
それくらい知ってるよ。
嫌になっちまうなよな。
それでも、
俺は幸せに生きていくんだ。
それを許してくれるかい?
あなたが許してくれなくても、
俺は生きていくんだよ。
冷たいかい?
ああ、俺は氷の様だよ。
そんな氷の様な俺でも、
心が千切れる程、
悲しいよ、今。
いい年こいて、
神様の様な力がない事が残念でならない。
あなたが、
世界で一人ぼっちで泣いていても、
俺は幸せを選択して生きていくんだ。
この悲しみも明日が来たら、
忘れた様に笑ってるだろう。
こんな、
どうしよもない俺でも考えるんだぜ。
あなたに何が出来るかって?
俺の答えは、
生きていく事だ。
あなたが生きていた事を覚えておく。
あなたを忘れない。
それだけだ、
俺が出来るのは。
あなたは、俺に影響を与えた。
それはあなたが生きていたからこそ。
あなたの命は無駄にはならない。
絶対に。
俺が生きていれば、
いつかのあなたが、
再び俺の前に現れた時、
抱きしめる事くらい、
出来るかもしれないからな。
さあ、今日も1日が始まります。
あなたが存在したから、
俺は強い気持ちで、
今日を生きていけそうだ。
あなたのおかげだ、
本当にありがとう。
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