わたしからあなたへ

「ブログかけ!」というお言葉を頂きましたので、恐れ多くも挑戦中です。私に起きた不思議な物語の第1章を無事書き終える事が出来ました。しかし不思議な流れは力強く私を運び続けています。「あなた」が目に映る世界が苦しいと感じるのであれば、その心を「ほんの少し温める」一助になれば幸いです。泣いて笑って共に世界を味わいましょう。

想像よりずっと

『真実に触れて』

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「6月の花」byGAHAG

 

 

朝の通勤途中。

 

クチナシの白い花が咲いているのを見つけた。

 

「ああ、クチナシの花の香りを嗅ぎたい」

 

と私は思った。

 

そんな想いを片隅に抱えながら、

 

日々の慌ただしさに呑み込まれたまま、

 

私はクチナシの白い花を横目に見送り続けた。

 

 

ようやく、

 

私は緑の中を歩く機会を得て、

 

白く開き切ったクチナシの花を目にとめた。

 

 

そのクチナシの匂いを嗅ぐ前に、

 

私は1年前の記憶を頼りに、

 

その香りを思い起こした。

 

 

あの異国を想わせる独特な甘い香り。

 

私は その香りを脳内に、

 

完璧に再現出来たと思った。

 

 

そして、

 

今、目の前に存在している、

 

白いクチナシの花の目の前に立ち、

 

顔を近づけ、鼻腔から、

 

その香りを私に取り入れた。

 

 

ああ、

 

そのクチナシの、

 

甘味の重層さ、

 

厚み、

 

奥行。

 

ああ、

 

こんなにも本当の存在は、

 

豊かなものなのか。

 

想像なんかより、

 

ずっと、ずっと

 

素晴らしい香りだった。

 

 

私達は、

 

いつも真実に触れている。

 

けれども、

 

多くの時間を真実ではなく、

 

どれほど記憶に触れている事だろうか。

 

あの花の香りも、

 

あの人の事も、

 

今日の1日を。

 

どれほど、

 

記憶ではなく、

 

真実に触れた事だろうか。

 

1日、1日過ぎ去ってゆく。

 

真実に触れる事が出来るのは、

 

今だけ。

 

私達は真実に触れるために生まれたのだ。

 

記憶を生きるためではない。

 

世界はいつも私達を待っている。

 

その手で、

 

その目で、

 

その鼻で、

 

私達に触れられる事を。