「信じて歩く」
しんちゃん編
前回の物語↓
地面に座り込み、
目を閉じ、
回復に努める呼吸の荒い
トリニティを見つめていた。
ああ、これはドクターストップだな。
もともと日常生活もままならないほど、
体調の不安定さが激しいトリニティだ。
人生で多くの時間を、
伏せて過ごしたと聞いている。
そのトリニティの人生初の登山がよりによって、
弥山の日帰り弾丸登山。
山小屋で一泊する人も多いと聞く。
俺と一緒にいれば無茶をさせっぱなしだ。
この登山は、
トリニティにはあまりに厳しいな、、、
前回、弥山の登山に向かった際は、
大雨の影響で中止になった。
そして今回も・・・
そうそう何回も時間を取れるわけではない。
トリニティには申し訳ないが、
一緒に下山して、
トリニティを車まで連れて行き休ませ、
せめて俺一人でも、
スーパーダッシュで再び登山し、
山頂にある天河神社 奥宮 弥山神社で
ご挨拶だけでもしなければならないか・・・
しかし、
それはトリニティは死ぬほど悔しい事だろう
なんとか捻出した登山の機会だ。
でもここは鬼になるしかないな・・・
と思考を巡らせていると、
トリニティは再び立ち上がった。
わたし
「行くのか？」
トリニティ
「いく、いける」
俺はその決意した表情を見て、
腹をくくった。
本当は分かってる。
この登山は、
トリニティと一緒に登頂し、
弥山神社に手を合わせる事に意味があるはずだ。
住吉大社で大きな空に描かれた、
「合ってる」のサインをもらった様に、
今回の旅も不思議な流れの中で始まった旅だ。
目に見えない存在から、
我々に託された願いもある。
・・・・
俺はこの歩く道を、
正しいと信じる。
その道が正しいという印が、
また与えられるかもしれない。
きっと、
なんとかなるはずだ。
よし、こうなったら、
もう行けるところまで行くしかない。
とにかくもう少し歩き、
休憩のしやすいポイントを見つけ、
エネルギー補給を
させなければ！！
俺も背負って歩く可能性もある、
自分自身もしっかり体力を維持しないといかん。
そして、私はトリニティの前に立ち、
『ヨシ、行こう』
と再び歩き出した。
地面は場所によっては、
不安定な石が積み重なっているガレ場、
大きな木の根が地上に飛び出し、
気を抜くと足が引っかかってしまう。
俺は何とかなるが、
あれだけ体力を失っているトリニティを想うと、
胸が痛む。
本当に限界の中歩いているに違いない。
しかし、
想像していてもトリニティの体力が、
回復する訳でもない。
まずは自分の一歩一歩を確実に歩くしかない。
気づけば、トリニティはずいぶん後ろにいる。
それでも、
大丈夫だと信じて歩く。
歩く。
歩く。
ここで少しトリニティを休ませよう。
ふと、俺は、
塩の事を思い出した！
そうだ！
俺には、
スーパーアイテムが
あるじゃないか！
ああ、
わんち さんが、
いざという時に使え！
と俺にわざわざくれた特性の塩。
使う時は、
いまこここじゃないか！
スーパーアイテムとは？
『これはな、特別な塩なんだ。
俺の30年来の付き合いのある
親友からもらった大切な塩だ。
そいつはよ、弟子が数百人いるような、
霊能力のある大先生なんだ。
除霊専門。
いわゆるゴーストバスターや。
俺は友達だから、
この塩を特別にもらってな。
この塩は強力な浄化の作用があってな。
これはいざっていう時にひと舐めするだけで、
エネルギーをもらえたり、
悪いものを祓う事ができるんだ。
この塩を持ち歩くだけで、
お守りになる程だ。
お前も、いざっていう時は使うといい。』
それを確か持ってきている。
おそらくベホマ並の
体力回復が期待出来るはず。
ベホマとは？
ドラゴンクエストシリーズの
回復呪文のひとつ。
体力全回復。
さっそく、
スーパーアイテム(塩)
二人で分け口に入れる。
モグモグ
じわーん
う うまい これは・・
し しみるー
その塩は特別に身体に染み込む様だった。
（ただの塩分不足？？）
トリニティを見ると、
同様な印象を感じている様だった。
そして、トリニティの表情もだいぶ落ち着いて、
これなら山頂を目指せそうな様子だった。
やはりこの塩は
ベホマだった！
ベホマとは？
ドラゴンクエストシリーズの
回復呪文のひとつ。
体力全回復。
そして、再び歩き出す。
トリニティの足は軽快になり、
俺と会話しながら歩く余裕もある様子。
なんだか本当に回復してるっぽい。
恐るべし「塩」のパワー・・・
1時間近く歩いただろうか？
道もだんだん緩やかになり、
ようやく休憩に相応しいポイントに出た。
ここは奥駈道出会と呼ばれる場所。
見晴らしの少し良い場所を見つけ、
ヨシ!ここで休憩だ!
弥山の登山は最初は斜面が厳しく、
中盤は緩やかになり、
最後にまた大変というルートらしい。
トリニティも本当によく頑張った。
トリニティの表情も思ったより悪くない。
我々は腰を下ろし、風景を見つめながら
水分を補給し、
軽い食事をした。
しかし時間は予定よりだいぶ押している。
登頂した後に下山し、天河神社に行き、
車で新大阪駅まで行って、トリニティを見送り、
俺は新幹線に乗って帰らねばならない弾丸の旅。
のんびりしている暇はない。
今日中に帰れるのか？？
いや、
考えてもしょうがないっ！！
さあ、
再び歩き出そう！！
つづく。
（10月23日 大安 大明日 神吉日 霜降の日）
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「トリニティからあなたへ」
みなさま、お久しぶりです。
トリニティです。
（近日名前の改定予定だそうです笑）
なんと5年と4ヶ月の沈黙を破り
『天河神社奥宮 弥山の旅』
再開をいたしました。
5年と4ヶ月。。。
あのとき生まれた赤ちゃんがいたとして
もう来春には小学校に入学するかという年月です。
長い。
なんという長い沈黙期間。
みなさまにも
もうはるか彼方の記憶に埋もれ
お忘れの物語だったかとお察しいたします。
『なぜこんなにも沈黙していたかーー』
それはこの物語が完結しました折に
お伝えをさせていただこうかと
現時点では考えております。
とにもかくにも、まだ【コロナ前】。
コロナなんて言葉もなかった時代に
タイムスリップいたします。
みなさまの2019年、
そう、令和が始まったあの頃は
どんな年だったでしょうか。
5年と4ヶ月の歳月は、
たくさんの物事を変えるに
充分な歳月です。
ですがこうして、
『変わらず存在してくださっているあなた』と、
またこうして再会する事が出来ました。
そんな喜びをもこころに抱きつつ・・・
弥山の旅物語、リスタートです。
ちなみにですが
明日は、
わたしとしんちゃんで創った法人の
事業所長が、
市開催のフォーラムで
登壇発表をします。
5年と4ヶ月の歳月は、
こんな場所にまで
わたしたちを運んでくれました。
またそんな物語も
いつか・・・
