わたしからあなたへ

「ブログかけ!」というお言葉を頂きましたので、恐れ多くも挑戦中です。私に起きた不思議な物語の第1章を無事書き終える事が出来ました。しかし不思議な流れは力強く私を運び続けています。「あなた」が目に映る世界が苦しいと感じるのであれば、その心を「ほんの少し温める」一助になれば幸いです。泣いて笑って共に世界を味わいましょう。

一隅を照らす

俺もそうなりたい

 

f:id:sintamsc:20171207231825j:plain 「光はわたしの手の中に」byM

 

 今日は物語の続きではありませんのであしからず。

 

先日、名古屋からの帰り道

私の胸を打つ出来事がありましたので、記憶があるうちに記します

 

私は忘年会が終わり、22時頃、自宅に帰るため電車に乗っていました。

電車の中は、わりと多くの人が乗っていました。

 

突然「キャー」という女性の声が車内に響き渡りました。

私は、「なんだ?」と思い、その声の先を見ると

座席に座った男性が嘔吐していたのです。

 

乗客達は、蜘蛛の子を散らすように

一斉にその場から、離れました。

 

その場に残ったのは、嘔吐した本人と、

少し離れた場所に座っていた、眼鏡をかけた一人の男性。

 

少し離れて座っていた、眼鏡の彼は、

電車の床に飛び散った吐しゃ物を、少し困ったように眺めていましたが、

その場から動こうとはしませんでした。

 

電車の中は、

「迷惑!」

「どーすんの?これ。」

「やだ、きたない」

というヒソヒソとした声に包まれていました。

 

そうこうする内に、電車は次の駅に到着しました。

その嘔吐した本人は、その駅へさっさと降りてしまったのです。

 

残されたのは、

床に残った吐しゃ物と眼鏡の彼。

 

私もその他の乗客も、その空間から離れた場所で

その彼がどうするかを注目していました。

 

眼鏡の彼は、やはり少し困った様に、申し訳なさそうな表情で

カバンをゴソゴソと探り

ティッシュペーパーを手に取りました。

 

 そして、

 

彼は、たった一人で

床に飛び散った吐しゃ物を

ティッシュでゴシゴシと拭きはじめたのです。

 

周囲は驚きの表情で彼を見ました。

 

嘔吐した人とは、彼は何の関係もない。

床が汚れたのは、彼の責任ではない。

床が汚れていても、彼は困らないはずだ。

 

 でも彼は、自分の手を汚しながら

少し申し訳なさそうな顔で拭いている。

 

私は彼を見た時に

嫉妬とも敬意とも言えぬ、複雑な感情に襲われました。

そして、私の胸を深く打ちました。

 

誰一人、彼を手伝うものはいない。

私自身が何よりの傍観者。

 

私は彼が、なんてカッコいい人だろうと思い

「手伝いたい!」という欲求が生まれ

慌てて、カバンからティッシュを取り出しました。

 

しかし、私は行動できませんでした。

ティッシュをギュッと握りしめ、周囲と同様に傍観を続けたのです。

彼は、周囲の目など気にする事無く、床を拭き続けています。

 

心臓がドキドキとしました。

 

何故?俺は出来ぬ?

 

人の目

汚いから触りたくない

善人ぶってると思われたくない

 

どこまでいっても、俺は人の目ばかり気にしてやがる。

 

私は自分がとても恥ずかしい人間だと感じ、

そして彼は、なんと立派な人だろうと思いました。

 

 

私はその時、伝教大師最澄(767~822)の言葉が頭をよぎったのです。

 

「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」

 

もっとも大切な事は、特別な何かをする事ではない。

一人一人がそれぞれの持ち場で最善を尽くす事。

それこそが最も大切な事。

最善を尽くす事は自分を照らす事。

そして、その光が周囲の人の心をうち、他者を照らす事に繋がる。

 

まさに、彼は一隅を照らしていた。

少なくとも、私にはそう見えました。

 

 彼はたった一人で、今床を拭きを終えようとしていた。

 電車はもうじき、私が降りる駅に到着しようとしている。

 

私は、葛藤を繰り返し、顔を真っ赤にさせながら彼のもとに歩き

「すいません、一人でやらせて」と小さな声で彼に伝えました。

 

彼は少しほっとした様に、こちらを見ました。

その時、電車は駅へと到着し

私は、ほとんど綺麗になった床を一拭きして、 

そのまま、すました顔をしてホームに降りました。

 

私は、ドキドキと胸を鳴らしながら、ホームでこう思いました。

 

 

 

オレ、スゲーじゃん!!

 

頑張ったじゃん!!

 

誰かあー!!

 

 

今の!!

 

 

見てくれたか!!

 

 

さあ、今日も頑張ろう・・金曜日。そうだ、今日は、元同僚達との忘年会じゃん。ブログの件、告白しよう・・。