わたしからあなたへ

「ブログかけ!」というお言葉を頂きましたので、恐れ多くも挑戦中です。私に起きた不思議な物語の第1章を無事書き終える事が出来ました。しかし不思議な流れは力強く私を運び続けています。「あなた」が目に映る世界が苦しいと感じるのであれば、その心を「ほんの少し温める」一助になれば幸いです。泣いて笑って共に世界を味わいましょう。

悲嘆の日々③(天河までの流れ③)

『今度は俺が約束を果たす番』

 f:id:sintamsc:20171213212945j:plain「また会おう」by S

 

葬儀は粛々と進んでいった。

 

お経をあげて下さった和尚様は、退出の際に、涙を静かに流されていた。

 

そして、一通りの儀式が終わり、出棺の準備へと入った。

 

私はそれを見つけると

 

心が落ち着かなくなった。

 

私には約束がある。

 

それをどうしても果たしたい。

 

しかし家族には、きっと、いい迷惑に違いない。

 

悩んでいる時間は私には残されていなかった。

 

大事な事ほど、本当にやりたい事ほど、我慢してしまう性格に嫌気がさした。

 

迷っている時、

お父さんと目があった。

 

私は思考より早くお父さんに向って歩き出した。

 

『お父さん、迷惑だというのは

 

重々分かっています。

 

ですが、

 

私は一緒に火葬場まで行って骨を拾いたい。

 

私は、なっちゃんとあの日、

 

心の中で約束したのです。

 

骨まで拾う覚悟で向き合っていると。

 

最後の最後まで向き合うと。

 

だから、

 

だから、今度は俺がその約束を果たしたい』

 

お父さんは、困ったような微笑で、

ウン、ウンと頷きながら

 

『うん・・来て・・娘もきっと喜ぶから・・

 

来てください。』

 

 と言ってくれた。

 

私は

『・・・・ありがとう・・・。』

 

と涙を拭って、お礼を伝えた。

 

 

火葬場に到着した。

 

空を見上げると、今にも雨が降りそうだった。

 

ご家族は私を身内同様に接してくれた。

時間が来るまで、同じ居室で過ごすように、声もかけて下さった。

それは、とてもありがたい気持ちだった。

 

しかし私はご家族と一緒に過ごす事には罪悪感がありすぎた。

 

丁重にお断りをして、一人で過ごせる場所を探した。

 

人気のない場所を見つけ、空っぽの頭で、

 

一人過ごしていた。

 

すると親族のお一人が私を見つけて

 

近づいてきた。

 

私に向って、とても優しい口調で

 

「少しお話を伺ってもいいですか?」

 

と声をかけてくれた。

 

私はその時一瞬、体が強張ったが、

 

あまりに優しい口調に

 

素直に『はい』と返事をする事が出来た。

 

その親族の方は、なっちゃんを愛していた。

 

なっちゃんも、ご家族も、

 

どんな想いで生きてきたのかも

 

よく理解されていた。

 

しかし、辛い話は知っていても、

 

なっちゃんがどんな表情で生きていたのかを

 

知らなかった。

 

親族の方は、なっちゃんが

 

私の事業所でどの様に、

 

過ごしていたかを聞いてくれた。

 

私は喜んで当時の話をした。

 

誰かが、困るとすぐに

 

助けに行く人であった事。 

 

誰より一生懸命に活動していた事。

 

美しい姿勢、美しい発声、

 

美しい字で目を引いた事。

 

なっちゃんが困ると、

 

みんなが、すぐに助けに行った事。

 

男性陣からモテモテだったのに、

 

いつも「そんな事ないです」

 

と受け入れなかった事。

 

どれだけ多くの人から愛されていた事。

 

親族の方は、私の話を聞いて

 

『本人が辛い人生を送っていたのは

 

知っていました。

 

だけど、なっちゃんが辛いだけじゃなくて、

 

ちゃんと愛されて、生きていたのだと知れて、

 

本当に嬉しかった。

 

なっちゃんが、

 

最後にあなたに会えて本当に良かった』

 

と目に涙を浮かべて伝えてくれた。

 

私は親族から思いがけない、

 

優しさに満ちた言葉を聞いて、胸が詰まった。

 

 

 

火葬場でなっちゃんは骨になった。

 

まだ骨は温かく、なっちゃんの匂いがした。

 

お箸でなっちゃんの骨を拾いながら

 

考えていた事がある。

 

迷ったが、本当の事を言おう

 

私はこんな事を思ったのだ。

 

頭がおかしいと言われても仕方がない。

実際、頭がおかしいのだろうから。

 

私は骨を拾いながら、

 

なっちゃんの骨の一部を

 

食べようと思ったのだ。

 

彼女の骨を実際に、口に含み、

 

体内に取り込む事で

 

一緒に生きて生けると真面目に思ったのだ。

 

しかし、そんな勇気は私にはなく、

 

実行する事はなかった。

 

※後日お母様に、この事を恐る恐る

 

告白すると、お母様は怒るどころか、

 

感謝さえしてくれたのだ。

 

なっちゃんの命は、姿を変えた。

 

私には、二度と見れなく、

 

そして触れなくなってしまった。

 

寂しい。

 

とても。

 

全ての手続きを終え、私はご家族を見送った。

 

外は雨が降っていた。

 

私は、空を見上げた。

 

空から静かに雨は降っていた。

 

私は空を見上げたまま

 

雨に濡れ続けた。

          続く

 

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悲嘆の日々④3部完(天河までの流れ③) - わたしからあなたへ

 

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悲嘆の日々②(天河までの流れ③) - わたしからあなたへ

 

目に見えぬ世界がある事を、感じ始めている「あなたへ」

 

昨日に引き続き、北山さんの言葉をご紹介します。

 

『地球のレッスン』 北山耕平 著

 

 目に見えるものはすべて

 

すべて目に見えるものは

 目に見えない世界に根を生やしている。

 姿形は移りゆくけれど

 本質はそのまま残る。

 息をのむ風景もやがては消えゆき

 美しき世界もいずれは色あせる。

 だからそれで意気消沈してはならない。

 それらのとってきたる源は永遠であり

 それは成長し

 枝を伸ばし

 新たないのちと、新たな喜びとを、産みつづける。

 涙でほおを濡らす理由などどこにもない。

 他ならぬ源はあなたのなかにあり

 世界はことごとくそこより生ずる。』

 

師匠の「こっさん」も表現は違えど同じ本質を伝えています。

 

いつも見守ってくれている「あなた」へ、心から感謝します。

とても嬉しいんだ。なかなか素直に言えないけれど、愛してるよ。