『池田晶子さん』
「雲」 by S
私が哲学に興味を持ったのは、
池田晶子さんの存在があったからだ。
難解だと思われがちな哲学を、
シンプルな言葉を持って伝えている。
私は彼女から、
正しく考える大切さを教えてもらった。
この方の文章からは常に凄みを感じていた。
池田晶子さんの言葉の中で、
私が特別に大切にしている言葉がある。
それは、
何故、
人間(脳)が存在するのか?
に関する記述だ。
ご紹介したいと思う。
考える日々 池田晶子著
宇宙は自身を考えるために P99
深海の魚は眼をもたないという事実を考えてみたい。
彼らが眼をもたないのは、
そこに光がないからで、
光があるところに生存する魚は、
眼をもっている。
光があるから、光を見ようと、
眼ができたのであって、その逆ではない。
そもそもそこにないものについて、
器官は発達のしようがない。
他のすべての器官についても、
そのようにして発達したと考えることができよう。
音があるから耳ができ、
空気があるから肺ができ、
というふうに、
既にそこにあるものに対応するために、
生物の器官は発達してきたのだと。
それなら、脳だって、そう考えるべきではなかろうか。
光があるから眼ができたように、
考えが在るから脳ができたと、
こう考えるべきではなかろうか。
そもそも先に考えが在るのでなければ、
脳など発達しようもなかったはずではないのか。
略
明らかに考えのほうが、先なのである。
「考えが物質をつくった」のである。
宇宙とは、先に物質なのではなく、
常に既に存在する「考え」なのである。
これを裏から言えば、
宇宙が脳を「必要とした」、ということだ。
宇宙が自分を考えるために、
人間の脳を必要としたということだ。
もっと言うと、宇宙について考えているのは、
もはやわれわれの「脳」ではないということである。
シンプルで、
誰にも分かりやすく、
考えを提示出来る言葉の力。
本当にすごいなあ。
私はこの考えに出会って、
宇宙について、
人間について、
初めて何か深く腑に落ちた気がしました。
宇宙が自身を考えるために、
私達は存在している可能性を想うと、
何とも言えない深遠な気持ちになります。
今日は土曜日、
素晴らしい1日をお過ごしください。
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