『これだけでいい』by s
昨日、あまりにもうちの坊主が「甥っ子」と一緒に居たがるので、
私
「じゃあ、姪っ子がウチに、坊主は甥っ子の家で暮らすか?」
と冗談半分で伝えました。
私
「その代わり小学校も変わらなくちゃいけないよ。」
と伝えましたが、
坊主
「別にいいよ」と。
坊主は環境の変化は苦手なはずですが、
甥っ子と楽しいゲーム三昧の生活しか、
今は楽しくて想像が出来ないのでしょう。
別れの日、みんなを見送る際に、
坊主が見当たりませんでした。
すると突然坊主は、
リュックを背負い、玄関から飛び出てきました。
「ぼくはいく」
表情を見ると泣き笑いの様な妙な顔。
一緒に車で乗って帰ろうと本気で思ったようです。
リュックの中身を確認すると、
いつも一緒に寝ている2体のサルとも言えない妙な人形。
坊主は「たぬき」と呼んでいます。
そして、昨日駄菓子屋で当てたクモと恐竜のマスク。
宿題はカバンに最初から入っていた様です(笑)
私は胸が痛くなりました。
その「今」を生きる純粋さに。
持っていくものは、「それ」だけ。
たったそれだけ。
それなりに坊主も葛藤はあったと思います。
子供は体験が少ないため、
現実的な想像をする事は難しいでしょう。
しかし、
それほど、甥っ子と過ごしたかったのでしょう。
チビなクセにほとんど身一つで旅立とうとした。
私は坊主に、
「本当にいくのか?」と尋ねると、
不安そうな顔をして、小さな声で、
坊主
「やっぱりやめておこうかな」とボソリ。
私
「どうして?」
坊主
「おとうさんと、はなれちゃうから」
私
「・・・・」
私は罪悪感に近い感情を抱きました。
このブログで書く私など、
上っ面の一部分に過ぎません。
私は普段どれだけ情けない人間で、
忍耐力もなく、
わがままを許され、
周囲に助けられっぱなしの
弱い人間である事。
坊主は、他の父親を知らないのですから、
比べる事も出来ません。
すまんな・・・。
甥っ子
「今度はいつ会えるかな?」
私
「もう自分たちで来れるんだから、
週末にだって来ればいいさ」
気づけば、甥っ子は別れの際、
10数年間別れの恒例だった、
涙を流していませんでした。
そして、
今回の休みで私との過ごし方を見て、
完全に甥っ子は私から自立したのだと実感した、
それは令和元年の夏でした。
みんなを見送り、完全に意気消沈した坊主。
いつか離れるんだ。
みんなそうだ。
もうしばらく俺に付き合ってくれな。
ブロウちゃんはわりと普段通り
私
「どうして?」
と聞くと
ブロウちゃん
「また会えるから」
との事。
それぞれ受け止め方が違うようです。
みんなが帰ってしまい、
いつもの空間がとても寂しく感じました。
そして、
数日前から「異邦人」に様な気分が、
更に深まり、生きてゆく無常を深々と味わいました。