わたしからあなたへ

「ブログかけ!」というお言葉を頂きましたので、恐れ多くも挑戦中です。私に起きた不思議な物語の第1章を無事書き終える事が出来ました。しかし不思議な流れは力強く私を運び続けています。「あなた」が目に映る世界が苦しいと感じるのであれば、その心を「ほんの少し温める」一助になれば幸いです。泣いて笑って共に世界を味わいましょう。

不二②

「地獄」

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不二(ふじ)意:二つとないこと

俺のここ数年の

近況を知っていた一人さんは、

しみじみとこう言った。

「お前さんも、地獄を見たんだなあ」

 

そう。

 

一人さん、俺も見たよ。

 

 

そう、

 

半年間、いや、もっとか。

 

食事もほとんど取らず、

 

動けず、

 

立ち尽くした。

 

体重は当然大幅に減り、

 

175センチの身長の俺が、

 

50キロ前半の体重になり、

やがて40キロ台に突入しそうだった。

 

 

何より、生活する上で苦労したのが、

 

全ての判断が出来なくなった事だ。

 

 

口から出る唯一の言葉は、

 

「分からない」だけ。

 

 

毎日、

 

「なぜ目を覚ますのか?」

 

「なぜ、ご飯を食べるのか?」

 

「何のために?」

 

そういった問いが止まなかった。

 

 

目が覚め動き出せるまで、

 

最低2時間は必要で、

 

そのため仕事に行くには、

 

4時くらいに目を覚ます必要があった。

 

 

車を運転していても、

 

どこに向かえば分からなくなった。

 

帰り道がよく分からなくなった。

 

 

スーパに入った時、

 

何をすれば、どこに向かえばいいのか、

 

分からなくて立ち尽くした。

 

 

街で人が、

 

動いているのが不思議だった。

 

なぜ、そんなに迷わないんだろうと。

 

 

気がつけば、

 

遺書のようなもの書き出している自分がいた。

 

それは増えていった。

 

 

死ぬ事は出来ないと分かっていながら、

 

包丁を腹に突き立てて、

 

死ぬ事が出来ない自分を恨んだ。

 

 

俺は死ねない。

 

 

まだ幼い子供もいる。

 

 

自死による悲しみが、

 

周囲にどんなものであったかを、

 

俺はなっちゃんに教えてもらったから。

 

何よりなっちゃんに、

 

生きるって事を約束したから。

 

生きる事も、死ぬ事も、

 

逃げる事も出来なかった。

 

 

死ぬ事は俺にとって解放でしかなく、

 

それは救いだった。

 

 

俺にとっては、

 

生きる事が

 

存在する事が

 

地獄だった。

 

 

はいっ!回想おわり。

 

 

 

 

一人さんを事務所に通し、

 

お茶を淹れた。

 

一人さんは周囲を見渡し、

 

一人さん

「お、立派な神棚があるじゃないか?」

 

わたし

「そうですよ、話したじゃないですか。

 

 夢で神社の名前が出てきて、

 

 全てが始まったって話したじゃないですか?

 

 ここには聖書もありますけどね」

 

一人さん

「ん?何の話だそれは。聞いてないぞ」

 

忘れてるし!!

 

まあ、その時、飲んでたし、

 

おじいちゃんだし。

 

細かい話はどーでもいいか。

 

 

一人さんは神棚に手を合わせてくれた。

 

その神棚には、

 

私を導いて下さった、

 

弁財天様もいる。

 

 

2人椅子に座り、

 

近況を伝え合った。

 

一人さん

「そうか、厄年の時に起きたか。

 

 本当にその年は、

 

 いろいろ起こるもんだ」

 

わたし

「でも、去年無事終わったし、

 

 これでやっと解放ですよ」

 

一人さん

「だめだ。

 気を抜いちゃいかん。

 これからは、

 毎年厄年だと思って、

 気を引き締めて生きなさい」

 

わたし

「えー!きびしいなー。

 そんなのめんどくさい」

 

一人さんは、

基本周囲には菩薩のように優しいが、

昔から俺だけに厳しい・・・

なんだ、心配なんか?

 

でも懐かしくて嬉しかった。

 

 

さて、

 

一人さんをお呼びした、

 

大切な目的があった。

 

俺の相棒であるトリニティと

 

一人さんを引き合わせる事だった。

 

 

2人は周囲から、

 

女神やら菩薩やらと

 

よく言われる存在同士だったので、

 

どうしても会わせたかった。

 

 

トリニティを紹介したところで、

 

俺は席を外して、

 

離れたところから2人を眺めた。

 

それはとても幸せだった。

 

 

トリニティは、

 

私と出会った事で、

 

沢山の心の傷を負った。

 

 

周囲から誤解を受けたり、

 

何より俺自身が傷つけた本人だ。

 

 

しかし、どんな時も、

 

私を支える事をあきらめなかった。

 

 

批判を受けながら、

 

トリニティは泣きながら俺を助けた。

 

 

わたしが立ち上がれなかった時、

 

ずっと子供達を励まし助け、

 

そして、

わたしを王国まで導き続けた。

 

 

それは、

ほとんど誰にも知られる事はなかった。

 

 

続く