『次は俺の番だろ?』~その次は愛するあの人の番かもよ。
カルカッタのスラム街by S
ボランティア達の昼休憩になった。
昼休憩は、皆ボランティア同士で楽しそうに会話をしていた。
私は活動中は 、水を得た魚の様に動いていたが、やるべき行為がなければ居場所がないように思えた。
私はもちろん一人。
いつもの様に、ぼんやりと空を眺めていた。
現地の人が、俺の一人を指さして笑った。
『まあいいんだよ。一人でも』と私は笑って答えた。
それは、本心だ。
私は一人で居る事を辛いと思ったことはあまりない。
無理して笑って、人と一緒にいる方が苦痛だ。
一人でいる時間はちっとも嫌いじゃない。
ふと過去を振り返った時、
不思議と思い出すのは、そんな一人で過ごした時間だ。
登録の日に声をかけてくれた香港と韓国の女性から声をかけてもらった。
『ここでも一人なの?』と笑われた。
『もちろん、一人だよ』と私は笑って答えた。
昼休憩が終わる頃、
施設の責任者である女性の方が私に話しかけてくれた。
説明の時は、厳しい顔に見えたが、とても優しい瞳をしていた。
そして彼女は言った。
『この施設に入れた人は、まだ幸せなのよ。あなたも見たと思うけど、路上には見るのも辛いくらいの現実があるわね』
そう。
そうなんだ。
私はカルカッタのスラム街を一人歩いた日を思い出した。
あまりの現実に写真など、とても撮る事は出来なかった。
道に裸で寝て動かない女の子。
痩せ細った、お母さんと子ども。
生きているのか、死んでいるのかも分からなかった。
その状況を、だれも特別に騒ぐことなく、当たり前の風景としてあった。
肌の色が黒い程、そのような状況の方が多い事に私は気付いた。
これが、カースト制度?
本当にあるんだ。
現実にあるんだ。
私は全身でその現実を味わった。
生まれながら、生き方が決定されている。
路上で生まれたら、路上で死ぬまで過ごすのだ。
それは、変えられない定めとして生きるのだ。
どんなに努力しても、変える事が出来ないのだ。
生き方を選択する事が許されないのだ。
俺はたまたま日本で生まれて、生き方を決められる人生だ。
道でうずくまっている、あの小さな女の子は、たまたまインドで生まれて、
この路上で生きて、死んでいく事が決定されている。
神様がどこにいるって??
自分でその人生を選んで来たって??
全ては愛の表現だって??
笑わせる。
神様が、どこにいるって言うんだよ!!出てこいよそいつ!!
こんな悲しい人生を、誰が好きで選ぶって言うんだよ!!
愛の表現だって?笑わせる!おめーがなってみろ!!
言葉にならぬ、怒りがと悲しさが体中を満たした。
生きるとは何なのだ!!
今日も命は生まれ。
あのカルカッタのスラム街でうぶ声をあげるのだ。
次は俺の番かも知れないし、あなたの愛する人の番かもしれないよ。
分かった様な顔する事は、俺にはずっと出来ないだろう。
私は小さな女の子が道で倒れていたスラム街から、
施設でボランティアしている現実に戻った。
先ほどまで、ここの人達の人生が不幸なものに見えていたが、
路上の現実を思い出した時、この施設で暮らしている人達が幸福に思えた。
不思議な事に、
目の前で展開している現実は変わってないのに、
不幸なものが、幸福に変わっていた。
比較によって、価値が逆転してしまう。
まことに、この思考は勝手なものだ。
私は3日間のボランティアを終えた。
そして、別れがやってきた。
つづく
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『あなたへ』
あなたは、どう思いますか?
私達は本当にこの人生を選んで生まれてくるのでしょうか?
それとも切り開いていくものでしょうか?
・運命は決定されておらず、自由意志で選択できる。
・すべて起る事は、すでに決定されている。
・生まれる前にすべてを自分で決めてくる。
・そもそも、「私」というものはない。
誰から得た知識ではなく、あなたの実感として、
あなたが本当に感じている事なんでしょうか?
私には、概念としては理解できますが、
まだ本当の本当のところで、納得出来ない事が沢山あります。
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