わたしからあなたへ

人生は不思議な事で満ちています。運命の出会いと別れを経て2017年11月20日に「ブログかけ!」というお言葉を頂きました。その不思議な物語の第一章を書き終えましたが、不思議な流れは更に力強さを増して、ようやくわたしは真を生きる事を決心しました。わたしもあなたも生きる事を味わい尽くし、善き旅路の果てで出逢いましょう。

内観への旅⑤(記憶の海底)

宮島からの眺め2023

記憶を想起する作業は本当に困難を極めた。

30代になるまでは、

私は過去の思い出というものを非常に大切にしていて、

思い出す事は得意だった。

しかし、過去、未来に生きる事の限界を感じた私は禅に出会い、

過去も、未来も切り離し、今を生きる事に意識を向けた。

それが、果たして良い事なのか?

一周回ってよく分からないのが正直なところだ。

ただ過去、未来の全ての基点が『今』なのは間違いない。

そして、それが真実だという事も分かる。

しかし、人間は過去も未来も想い描けるように設計され、神様はそれらをうまく活用するために

人間に与えたのだと思う。

 

研修を受ける数年間は、

喪失や始まりの出来事が激しく起こり、

記憶に留めるという作業がうまく機能しなくなった。

想起しようとしても空白だけがあり、

思い出せない、分からないという状況になった。

やがて、何百回通っているわずかな距離の通勤のルートですら、

迷ってしまい日常生活に支障をきたす程になった。

思い出すという作業に痛みや苦しみが伴うので、

自分を守るために記憶の想起を

自然に拒否する体制を脳は整えたのだと思う。

 

その状況での内観作業は本当に苦しかった。

思い出すという作業自体に痛みを覚えた。

が、残された道はない。

面接官の方から記憶の想起の方法をアドバイスを頂き、

それを素直に何度も何度も実行した。

 

例えば、小学校1年生の自分を思い出す時は、

当時の自分の部屋・匂い・置いてあるもの・登校する道・クラスメイトを思い出してゆく。

誰と遊んだか・教室の記憶・休み時間の過ごし方・学校から帰ってくる自分。

そんな事をイメージして、その頃の自分へ、

水に深く潜る様に何度も想起する。

その記憶のイメージは頼りなく、

ただの創作かもしれないという不安感の中、

何度も何度も諦めず思い出す。

そして、その頃の自分から眺めた対象者から

「して頂いた事」「して返した事」「迷惑をかけた事」

の事実を海底の石を拾う様に探してゆく。

 

実際は記憶の海から何度もはじき返された。

しかし、やるしかない。

覚悟を決めてやっては、挫折して、

歯を食いしばり、

自分を励まし何度も何度も記憶の海に潜った。

 

正直、あやふやな記憶も多かったが、

思いがけず、その時の空、風、部屋、

自分の感情をそのまま思い出せる時もあった。

そんな時は涙を流さずにはおれなかった。

 

2018年頃からの記憶が

見事にすっぽりと抜け落ちており、

記憶の手がかりを得るのも難しく、

完全に止まってしまった。

面接官にその旨を相談し、

スマホの記録などを見る事を特別に許可してもらった。

 

これだけ時間が与えられている様に思えても、

一人に対して膨大な時間がかかる。

実際、その時間に対しての焦りは強く、

対象人物を絞ってすすめるしかなかった。

 

さて、

内観をする中で、

対象人物にしてもらった事実はどんな些細な事も探してゆく。

それは言葉でも、

沈黙の見守りでも、毎日のご飯でも。

 

ご飯を食べられるという事は、

その食材を買えるだけの労働を誰かがして、

買い物ゆき、調理をして、洗い物もする。

そんな当たり前だと思っていた事を一つ一つ確認してゆく。

 

それに引き換え、

自分がして返した事の少なさに唖然とする。

 

やってもらって当たり前。

そう考えて生きてきた。

誰もが一人の人間。

年を重ねれば精神性が上がるわけではない。

 

親も私も変わらぬ人間なのに、

親だからやるのが当たり前だと思い込んでいる。

そして、不足を思う事はするのに、

して返そうとする事はない。

 

そう言った事実が沢山見えてくる。

 

更にひとりよがりの迷惑は限りない。

結果、私が親にしてもらった事に対して、

して返した事などチリにも満たない。

そんな事実確認を山ほど確認した時の

気持ちはもう言葉にならなかった。

 

つづく

吉本内観への旅①(人生の地下工事) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅②(悪人への気づき) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅③(私のくびき) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅④(幻想) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅⑤(記憶の海底) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅⑥(悪の暴露) - わたしからあなたへ

吉本内観への旅⑦最終回(内観について) - わたしからあなたへ

内観への旅⑧番外編(ウイルスの発見) - わたしからあなたへ

 

「あなたへ」

 

頭が狂ってるくせに、

いい顔をして、

自ら疲れる。

 

とは言え狂人丸出しで社会に出たら、

机の上で倒立したくなる。

そんな事したら、

所属している看板を汚してしまう。

 

真っ黒な顔なのに、

人前に出る度に、

白くなる化粧をしてゆくから、

人との関わりがめんどくさい。

 

ああ、

ワタスの事ダス

 

目標は真っ黒のままで、

世界に飛び出す事。

 

静かな職場で、

突如犬の様に吠えたくなり、

ムカついたら噛みつきたくなる。

扉は頭突きで、打ち破りたい。

(これはこっそりやってるだろ)

 

パソコンのキーボードを、

鬼の様にタイピングした後、

(やってるだろ)

キーボードの上でジャンプしたい。

 

みんなが唖然とする姿を見たくなる。

 

そういった

反作用が止まらない

 

狂人に優しくしてくれて、

ほんといつもありがとう。

時々はみ出しちゃってごめん。

 

俺もこー見えて頑張ってます。